第48回公開講座
公開講座 連続して100名突破
改正通則法の施行を受け盛り上がり・一定のまとめ
今年の税務行政の方向は、確定申告の留意点は?
近づく消費税増税。今からでも遅くない準備
税制改正は?
第48回公開講座は2013年2月7日(水)午後1時から、千駄ヶ谷の東京税理士会館2階会議室に前回に引き続き100名を超える111名の参加者で開催されました。(写真右・受付風景)
今回のテーマは
1.税務調査手続きの法制化の問題点と対応
2.平成24年分確定申告のポイント
3.増税消費税と実務
4.平成25年税制改正の内容と特徴
の4課題でした。
各課題の報告に先立ち主催者を代表して挨拶に立った永沢理事長は次のように述べました。(写真・下)
■改正通則法、利用し活用し、新たな「納税者権利憲章」へのたたかいを(理事長)
今回の公開講座は、施行された改正国税通則法の問題点、 消費税増税は来年4月から実施される予定ですが、今から注 意しなければならない実務上の問題点、確定申告の注意事項、そして2013年税制改正の問題点などについて、当センターが 問題提起をすることにしています。
現在の政権は、選挙制度の欠陥が産み出した政権であり、 国民は安倍政権が主張する憲法9条改正、国防軍創設、消費 税増税、大型公共事業復活、社会保障制度改悪等を支持しているわけではありません。
私たちは、税の専門家として、税の取り方取られ方、そしてその使われ方について、国民が平和で安全・安心して暮らせるために行われるよう監視し、意見を述べていくことが必要だと思っております。
改正通則法の税務調査に関する法律が1月1日から本格実施されました。税務調査の方法も大きく変わりました。納税者の権利・利益を護るため、改正された法律を私たちは大いに利用、活用しなければなりません。そうすることによって、新たな納税者権利憲章を創る運動を盛り上げることができるのではないでしょうか。
当センターが出版した「差押え」は増刷されました。消費税増税ともなれば、新たな滞納が一段と増加すると思われます。納税者の事業再生、生活再建を支えることができる税理士であるために、この「差押え」の普及にご協力をお願いしたい」
■改正通則法問題の一定整理
第一課題の報告者は改正通則法に関する講演で北は北海道、 南は沖縄まで全国各地を飛びまわってきた、この問題での第一人者、岡田俊明会員(写真・左)
岡田会員は、「事前通知」「書面通知の排除」「調査理由の開示」「実地調査の範囲」「調査と指導の区分の明示」「事前通知事項の内容」「事前通知事項の拡大」「調査終了手続き」「申告是認通知」「調査結果の内容説明」「修正申告等の勧奨」「再調査」「無予告調査」「提示・提出・留置き」「税務代理人の任務」など細部にわたって解説。これまで各地を巡って出された質問・疑問、多くの議論の中で出された問題点をふまえ、1年間の議論を一定の整理をして「問題点と対応」として報告しました。参加者からは「最近調査の事前連絡を受けた。
非常に参考になった」「よく理解できた」「税務調査の最近の研究を聞き大変勉強になった」「実務的で分かりやすかった」「無予告調査が簡単にできないようになると感じた」などの声が寄せられました。
■今年は不動産所得者への調査が激増
続いての報告者は現職を退いて間もない新進の佐々木隆夫会員。現職時代は所得税調査一本やり。新しい現場の情報、経験をふまえて確定申告にあたっての留意ポイント、今後の税務行政(調査)の方向について報告しました。(写真・左)
とりわけ、「不動産所得を有する者に対する本年度の新施策、不動産所得を有する者についてその30%を調査する」という報告には参加者の関心も高いものがありました。佐々木会員は、不動産調査のポイントを含め細かに解説しました。
参加者からは、「不動産調査の増加について参考になった」「最近の情勢がよくわかった」「課税庁側の考え方を聞いて非常に参考になった」などの声が寄せられていました。
増税消費税に対抗するために―実務はどうする
第3報告者は消費税調査の実務経験豊かな小田川豊作会員(写真・右下)
株価上昇に円安でボルテージが上がる安倍内閣。消費税増税を実施に踏み切る確率は、その支持率のバックアップもあってほぼ確実。これに対する「反対」の意思を示しつつ、税理士として対策が遅れてはクライアントの権利・利益を護れません。
小田川会員は、改悪税法の解説から増税消費税に関連する諸施策、増税消費税法の問題点。そして実務上の留意点では具体例を挙げ、実際の計算例やグラフ、表を駆使して解説しました。とりわけ建築業等、仕事が複数年度にわたるものなどは注意が必要であると解説しました。
参加者からは「税理士の業務への影響が大きい」
「ポイントが解りやすかった」「経過措置に気をつけなければ」「なかなか為になる話が多かった。時間が短く残念」などの声が寄せられています。
「アベノミクスの税制政策」
最後の報告者は、「平成25年税制改正」について。
現職を退いたばかりで、全国税時代には労働組合の税制、税務行政の研究会「全国税研」と長くかかわり、委員長も務めた八代 司会員(写真・左)
退職後も当センターの会員と同時に税制研究所職員税理士として活躍。
「アベノミクス」下の税制政策、三本の矢について理論的に解説。
税制改正大綱に隠された、応能負担原則のなしくずし破壊、不公正税制の拡大等について解説しました。
参加者からは、「とてもわかりやすかった」「景気が良くなるかどうか疑問」などの意見が寄せられました。
なお、当日のテキストに若干予備があります。ご必要な方はセンターまでご連絡ください。
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